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誰に似たわけでもなく

甥と姪の食器を下げて洗い物をしようとしたら甥が「ありがとう」と言ったので驚いた。たまたまだった気もするが、面倒見られてるくせに大威張りの王子様とお姫様だったのに学校へ行って気遣いを知るようになったのか。甥は二年生になるが両親のマンガをよみあさったりもして大人びたことを言うことがある。もう少し幼い妹に心遣いができればとも思うけれど、まだまだけんかしているぐらいでちょうどいいのだろう。

これに比べると3つの姪はまだ私のことを絵本読み機能付き専用いすだと思っている。そして、ついこの間まではたとえば「ごんぎつね」のように少し長いお話だと1ページを読み終わるのを待ちきれずにページをめくってしまい話が途切れ途切れになったのに、ストーリーを追って話を全部聞くようになった。時には銃の絵を見て「どーんとするで」などと自分で説明さえする。わかってるんなら読まんでもええがなとも思うがそこはやっぱりどーんと銃を撃ってごんがばったり倒れるところをやらなくてはごんぎつねにならない。

この子はもっさり系の母親(私の妹)に似ず早くからイケイケなキラキラに興味を示し、ちょこまかと世話焼きで「誰に似たんやろ」などと言っていたのだが、最近思うのは、誰に似た訳でもなくこの子は既にこの子なのだ。この子の兄にしても、こちらはいかにも義弟にそっくりでまた私の妹にもよく似ているので何かにつけて「よう似て」と言われ言われしてきたけれども両親を足して2で割ったわけではない。既に別の人格が育っている。

思えば小学2年生のころ、自分は一人前の大人のつもりだった。そして親戚づきあいの濃い田舎で伯父さんや伯母さんたちにもさんざんお世話になったのだが有り難いともなんとも思わなかった。基本的にそのまま大人になってしまったのだが、この子らに自分の来し方行く末を重ね合わせて思うのも、伯母の気楽な感傷である。

私の声を聞いて二人がすっぽんぽんでお風呂から飛び出してくる、母になることのなかった私には二度とはないと思われる瞬間を懐かしむ時は案外すぐに来るのだろうか。
by warabimochi57 | 2011-05-29 02:24

謹製 さつき


by warabimochi57