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さようならアデレード

渡豪直前に手術を受けて田舎の実家でしばらく療養していたせいで、初めて着いた日にはこの小さな地方都市のアデレードが大都会に思われた。

その日に学校に挨拶にいって、エレベーターに乗ったらいきなり階の途中でエレベーターが止まり閉じ込められた。緊急電話でサービス会社の人と話して「閉じ込められているんです」と今よりももっと片言の英語で訴えるとのんびりと「なんか読む本持ってますか」と言われた。

No worries. 北海道弁の「なんもだぁ」というニュアンスに近いおおらかな挨拶にもなじみがなく、何よりも強烈なオーストラリアアクセントで何言われてるのかさっぱりわからないことが多かった。

思い切ったというよりは単に無謀な留学生活の始まりだったのだが、予定を少し超えて2年と5ヶ月弱の滞在を振り返ると、やはり一番に出てくるのはよくぞ生き延びたという感慨である。

肺がんが幸いにも早期発見され、手術を受けて後5年の経過観察はようやく半分を過ぎたのだけれど、当初はここまで来られるかどうかも自信がなかった。いつも「もしも再発したら心の準備しとかにゃ」と悪い方へ考えるようにしていた。

まだまだ油断はならないけれども、「ああまだ生きている。生きてこの街を歩いている、生きて本読んでる、生きて恋をしている」という強い実感はそれを知らなかった健康で元気いっぱいの時よりももっと深く鮮烈にこの美しい街の印象を心に刻みこんでくれたように思われる。

いやまだ、あと10日ぐらいあるんですが、この後は色んな人と食事したり挨拶したり荷物片付けたり送ったりバタバタして落ち着いて書けないといけないので、今のうちにアデレードに挨拶しとくことにしました。

アデレードとそこでお世話になった皆さん、ありがとう。できることならあと半分、それ以上に生き延びてまたお目にかかれる日が来ることを願っています。

ちゅうことで、そろそろ机片付けなあかんなあ。。。
(ブログ更新はまだこっちでもすると思います。とりあえず今日はご挨拶ってことで。)
by warabimochi57 | 2008-12-16 18:05

謹製 さつき


by warabimochi57