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トニーの話

昨日の約束のトニーのお話です。

私が通っているコミュニティセンターの英会話コースの主な客層は韓国人のお母さんである。子供を1年とか2年とかオーストラリアの学校で勉強させるために、夫は韓国で働いて子と妻がオーストラリアに短期留学とその付き添いというケースが多い。

トニーの場合は、公務員の妻が韓国で働いて、夫が子供の面倒を見ているというもの。それで一人娘が1年間の留学を終えて、トニーも国に帰る日が近づいてきた。今度の金曜日が彼の英会話クラスの最後の日になる。

トニーは年はわからないのだけれど、私なんかと同世代ぽい。英語はそこそこできるのだが、韓国訛り爆発なので、コミュニケーション能力はかなり低い。私も自分のことは棚に上げて「もっと発音に気をつけたほうがいいよ」などと何度か言ったほどである。

私は、どこの訛りにしても、激しく訛っている人を見ると共感を覚えるのだが、コミュニケーションが難しいのは別問題で、始めのうちはトニーとの会話がけっこう苦痛だった。ところが彼はまじめな人で、英語の言い回しやらなんやら、総合的な英語力の増強にも努力を惜しまない一方で、発音も凄い訛りながらも明らかに努力して、だんだんましになってきたのである。

1年経ってみると、明らかに韓国訛りは残るものの、何が言いたいのかはっきりわかる、コミュニケーションができるところまで上達している。もう固まっちゃっているとしか思えなかったむちゃくちゃな発音がここまで変わりうるのだという実例を目の当たりにすると、ふだんの半ばあきらめ気味の、投げやりな発音練習が恥ずかしくならざるを得ない。

私はいつか将来韓国へ遊びに行くときのために韓国人の友達が欲しいという下心があったのだけど、気がついたらそんな下心とは一切無関係に尊敬できる友人ができていた。

ただただこつこつやっているだけで、成果らしいものは何もない、と本人が思っているときでも、傍から見ればくっきりと成長の跡があり、そして周りはその誠実な努力に励まされ力づけられている、ということがある。

そもそもこつこつやっていない人はほんとに成果もないんですけどね。明日はトニーにあげるカードを買いにいこう。
by warabimochi57 | 2007-11-27 16:28

謹製 さつき


by warabimochi57