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不気味なプレゼント

あまりにも現実主義でリアリストなので、適当に迷信を楽しめない。占いとか怪談とかはちょっとは本気で楽しみにしたり恐くなるっていうのがないと面白くないだろうと思う。

とはいえ、私ももとからこんなんだった訳ではなくて、小学生のころまではおばけも恐かったし、中学生のころにはハヤカワ文庫でクリスティーのミステリなんかを読むと親戚のおじさんが遺産目当てに自分を殺しに来るような気がして恐くなったりしていた。遺産なんかどこにもないし、仮にあっても私を殺したところでおじさんの手に入るはずはないのだが、そんなことは関係ない。ただ、架空の富豪の大邸宅の殺人事件が自分にも起こりそうに錯覚するというのは、由緒正しい小説の楽しみ方で、今ほど現実主義になれなかったあのころは(既にその芽はあったのだが)十分にそれを楽しんでいた。

という訳で「不気味」という感覚からも離れて久しい、つまり何を見ても聞いても全く不気味に感じないので不気味という感覚をすっかり忘れていたこのごろ、先日頼んでおいたリスベート・ツヴェルガーの挿絵の「くるみ割り人形」の絵本が届いた。

いやーぶきみ!これはいいです。不気味な絵が好きな人にはお薦め。この小説はもともと恐いのにもってきて、絵本の見開き2ページが表も裏もねずみの大群という、開いたはいいけどまたパタンと閉じて自分の目の触れないところに隠してしまいたくなる不気味さで、ほんと、私この感覚は30年前の小学生の頃おばけが恐かった時以来だなと感じ入った次第です。ねずみ嫌いの人はやめといた方がいいです。現実のねずみ以上に恐い。一方でくるみ割り人形の絵はとってもかわいくて、そのコントラストで恐さ倍増です。

ともあれ、私が子供だったらこんな絵本のプレゼントは絶対いらない。でも子供の心を100億光年の彼方へ置いてきてしまった私にとっては、なんかちょっと嬉しいクリスマスプレゼント(自分で買ったんだけど)なのでした。
by warabimochi57 | 2006-12-30 15:50

謹製 さつき


by warabimochi57