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見栄っ張り

くだらない本を読むのに図書館は便利である。自分で金を払うのは絶対嫌だ、でも読みたいと思う本は図書館にある。その点、うちの町の「何冊でも」借りられる太っ腹図書館は便利、と思ったらこれがそうでもなかった。

カウンターにいる女子職員は妹の同級生である。その人の兄と私が同級生で保育園から高校までずっと同じ、向こうもこっちも家族全員知り尽くしている幼なじみである。そんなところへ自分で金を出すのは絶対嫌なくだらない本ばかりそう何冊も持っていけるものではない。仕方ないのでくだらない本は図書館で読んで、借りて帰らないことにしようと思ったのだが、閉館間際になって、やはり持って帰りたい本ができた。

そこで私は大急ぎでおりこうそうなダミー本を見つけて、いかにも「私が借りたいのはこの賢そうな本ですよ、こっちのくだらない本はホンのおまけ、つけたし」みたいな顔をして、カウンターで手続きを済ませた。まるでエロ本を買うおやじである。

見栄っ張りのお陰でがんばって勉強を続けてこられたのだから、これからももっと見栄を張らねばなるまい。誰もそんなとこ見てねーよ、というところに見栄を張る。見栄っ張りの道は長い。

その図書館へ行くのに、母が借りた本を返してきてやろうというと、母は借りた本が気に入ったから買うといってメモしていた。ネットで買ってやろうかというと隣町の小さな本屋で買うからいいという。

子供のころ、一年に一度の地蔵盆の縁日にその本屋で好きな本を一冊買ってもらうのが何より楽しみだった、その小さい本屋は、今の時代、よくまだ営業が続いているなというような小さい店である。この本屋で取り寄せた少年少女世界文学全集で私は大きくなったのだ。なんでもネットで買えばよいというもんでもないのだった。

ということで、さあお楽しみのくだらない本を読もう。賢そうな本も後で読むけどね。(これは見栄ではない、念のため。)
by warabimochi57 | 2006-06-16 19:25

謹製 さつき


by warabimochi57