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駒落ち

むかし、将棋の強い人とつきあっていた。アマチュアの有段者で二枚落ち(飛車と角を落とす)ではあまり勝てなかった。あまり、というのは二枚落ちには定跡というのがあって、下手(したて:弱いほうの人)がきちんとその通りに指せば必ず勝ちそうになるのだが、そこから自分勝手に指し始めると逆転されて負けるのだった。

姪たちと将棋をして、初めて駒落ちの上手(うわて:強いほう)を持った。角落ちであっさり飛車成りを許して、結果的に私が負けたのだが、姪は何度も私の玉が詰んでいるのを見逃し、最終的には勝ったのだけど、もっと早くに30回ぐらいは勝っていた。

とにかく将棋といえばその元彼との勝負で、実力が段違いに向こうが強いという状況だったので、こちらが駒を落とす立場になって初めて、強い者には弱い者の弱さがよく見えるということが理解できた。

思えば麻雀もそうだった。自分より明らかに弱い人、という存在ができて初めて、弱いときの自分が強い人の目にどう映っていたかが推察できるようになった。

そうなると今度は、さらに今の自分よりもっと強い人の目に自分がどう映っているかも推し量れるようになる。

姪は自分の持ち駒を全然見ていない。金を打てば詰むのに自分が金を持っていることに気づいていない。強気で攻めれば圧勝できるのにこちらの陽動作戦にだまされる。勝てる材料はそろっていても、その手順をきちんと踏むことができない。姪がたまたま詰みを一つ発見するまで、私は圧倒的に不利なのに負ける気がしなかった。

最初から名人だった人はいない。駒落ちで負ける経験は名人にも必ずあるはずで、名人はそこから何を学んだのだろう。あるところまで来たら「何も学ばない。ただ繰り返す。」ということをしていたのではないだろうなあ。

次は香落ちでやってみようと思う。
by warabimochi57 | 2006-04-03 00:46

謹製 さつき


by warabimochi57