流れ着いた観音さま

長浜市にある川道千手院には、二体の千手観音像が安置されている。伝承によるとご本尊の観音さんは川の上流から流れてきたもの。そして、もう一体は、その観音様が夢枕に立って「私と同じ形を彫って、誰かが私を尋ねて来たらそれを差し上げよ」とおっしゃったので同じように彫ったけれども誰も尋ねてくる人はいなかった、ということである。(「湖北の観音さま」長浜み~な協会編による)

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この身代わりの観音さまは、秘仏であるご本尊の隣の厨子に安置されて、なんの指定もない仏さんだったのだが、実は(伝承とは違って)平安初期の作とかでいきなり国の重要文化財に指定された。そして、今年はご本尊の17年目の中開扉ということで、今日まで盛大な法要が営まれ、二体の千手観音にお参りする機会を得たのだった。

世の中に仏像好きな人がいるということは知っていたし、仏教美術というものもあるらしいことは認識していたが特に信仰を持たず、また美術にも歴史にも疎い私にはまるでご縁のないものだった。ところが、先月は鞍馬の阿弥陀如来を訪ね、今月は祖父の五十回忌のお下がりに両親が上述の本を配ったりしていたものだから、ご縁に導かれるように阿弥陀さんやら観音さんやらの仏像に出会うことになった。

およそ出会いとはそういうものなのだけれども、昨日まで縁もゆかりもなかった仏像に心が惹かれてやまない。とはいえ急に信仰が芽生えた訳でもないので、信仰を持つ人々の邪魔をしないようにひっそりと仏像を愛でる、そういう人になろうと思う。仏さんは太っ腹やから不信心の癖に仏像だけ好きになるとは何事、みたいなせこいことは言わはれへんであろう。

16年後の次の開帳にも間に合ってお参りすることができるだろうか。ご本尊の扉はまた閉じられ、この琵琶湖畔の田舎の寺に籠もられてしまったけれども、身代わりの仏さんには毎年十一月にお参りできる。またお尋ね申し上げたいと思う。
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by warabimochi57 | 2012-11-12 00:21 | Comments(0)

謹製 さつき


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